Saturday, August 6, 2022

境界と想像力と愛

 人が引く境界というのは容易に動かせるようでいて、実態は血縁とか経済とか戦争によってガチガチに固められている。

国家という境界に囲われた内側と外側を繋ぎ止めるために経済的相互依存が機能するという確信が揺らいだ2022年の宇露戦争。

いや、2016年のトランプ当選から既にそれは始まっていたと見るべきだろう。想像力で糊着させられた共同体が既にその想像力そのものの分断によって内部から揺るがされているわけだ。

だから一部の人間はいまシステムによる自動化された統治ではなく、人間が主体的になって人間性そのものを守っていかなければ共同体の存続すらもままならないことを実感しつつある。

だからアガンベンは愛という非常に頼りないアイディアを剥き出しの人間達を繋ぎ止める帰結の一つとして提示したのだと思う。

だがシステムによって調律されつつある我々は愛というものをどこまで実存のうちに留めておけるのか。それが一つの抗いであるように思える。